慈光2019年11月 | Translated by Gi |
住職からのごあいさつ | 住持敬辞 |
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諸行無常であるが故に | 因为诸行无常 |
今ここを大切に生きる | 所以要珍惜当下 |
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最近私は、秋が好きです。境内に漂う、金木犀のえも言われぬ香りが好き、という理由もあります。心地よい秋風に助けられて外作業がはかどるから、という理由もあります。田んぼに実った黄金色の稲穂や、店頭に並ぶ自然の恵みに豊かさを感じるから、という理由もあります。しかしそれ以上に、秋の哀愁漂う感じが好きなのです。秋に感じる哀愁は、お釈迦さまの説かれた「諸行無常」を思い起こさせてくれます。命は一瞬も止まることなく、常に変化しながら「死滅」に向かっていく。この、何人も避けて通れない現実を表した言葉が、諸行無常です。若い頃は、この言葉の響きが、たまらなく寂しく、嫌でした。けれども年を重ねるごとに、現実を受け入れられるようになり、むしろ諸行無常であるが故の可能性を喜べるようになりました。 | 最近的我很喜欢秋天。原因之一是因为寺院境内弥漫着说不出来的桂花香。也是因为在凉爽的秋风中劳作很舒服。还是因为田地里的金色稻穗,以及店头陈列着的来自大自然的恩惠,让人感受到丰收的喜悦。但比起这些,我更喜欢的是秋天的哀愁感。秋天的哀愁会让我连想起释迦牟尼佛所教诲的“诸行无常”。生命从未止步,在不断的变化中走向“死灭”。这无人能回避的现实便是诸行无常。年轻的时候觉得这个词特别的孤寂,很不喜欢。但是,随着年纪的增长,慢慢变得可以接受现实,甚至会为诸行无常带来的可能性而欣喜起来。 |
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諸行無常であるが故の可能性は、二つあります。一つには「私たちが抱えているどんな苦しみも、消えていく」可能性です。命は、生まれ、病み、老い、そして死んでいきます。その大きな変化の流れの中に、出産、入学、恋愛、結婚、就職などの喜ばしい変化もあれば、時として、ケガ、事故、失恋、離婚、被災、リストラなど、受け入れ難い、苦しい変化もあります。しかしながら、全ての事象が移り変わっていくが故に、幸せもいつか崩れ去りますが、苦しみもまた、いつかは去っていく可能性があるのです。苦しみに悶える人々にとって、これほどの救いはありません。 | 只诸行无常才会有的可能性有2种。一种是“不管我们有怎样的痛苦,都会消失”。生命本身就是生老病死的过程。在人生巨变的潮流中,有出生,入学,恋爱,结婚,工作这样让人喜悦的变化,也有受伤,出意外,失恋,离婚,受灾,失业这样难以接受的痛苦的变化。但是,正因为万事皆有变,不光是幸福会慢慢消失离去,痛苦在某天也会有消失的可能的。对于那些痛苦不堪的人来说,这应该是最大的救赎。 |
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もう一つは、諸行無常であるが故に「今ここ」を大切に生きようとすることです。私たちはつい、「今」という時間をなおざりにして、過去に固執したり、未来を夢見ることばかりに時間を費やしてしまいがちです。また、目の前の物、事、人との関係をおざなりにして、隣の畑を羨んでしまいます。しかしながら、全ての事象が移り変わっていく現実を知れば、「今」という時間を大切にし、すでに持っている関係を愛おしく思うのです。 | 另一种因诸行无常才有的可能性是,珍惜“当下”的去活着。我们经常会忽视“现在”,把时间花费在执著过去,梦想未来上。忽视眼前的物,事,人,去羡慕旁人。但事实是,万事万物是会变化的。如果知道了这一点,就会懂得珍惜“现在”,会知道现在拥有的一切都是很美好的。 |
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さて、今年ももう残すところわずか2ヶ月となりました。私は毎年10月に入ると、「諸行無常」を念頭に置きながら、心身、身辺の整理整頓を実施します。整理とは、不要なものを見極めて捨てること。整頓とは、必要なものを見極めて元に戻すこと。時間をかけて丁寧にそれらの作業を行いながら、己の一年を振り返って反省し、新しい年を生まれ変わって迎えるための準備をします。その準備とは、毎年12月に行われる、福厳寺あきば大祭です。 | 今年就只剩下仅仅的两个月了。到了每年的10月左右,我都会把“诸行无常”放在心头去整理整顿身心和周围的事。整理,是辨别出不需要的东西然后扔掉。整顿,是辨别出必要的东西然后放回原处。自己认真的去操作这个过程,通过回顾并反省这一年,做好迎接新一年的准备。这个准备就是每年12月在福严寺举行的秋叶节(渡火节)。 |
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福厳寺あきば大祭は、己の心に宿る三毒を反省し、三徳に転換するという儀式です。 | 福严寺的秋叶节,是反省内心三毒,然后把它转为三德的仪式。 |
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三毒とは、 | 三毒为 |
1. 貪(欲) | 1. 贪(欲) |
望んでも手に入らないもの、必要ないものを欲し | 对得不到的,不需要的东西有非得不可之心。 |
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1. 瞋(怒り) | 1. 瞋(怒) |
思い通りにならないことに怒り | 如果没有称心如意就会发脾气 |
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1. 痴(無智) | 1. 痴(无知) |
忙しさや刹那的な快楽に甘えて、真理を知らず、現実を正しく見ることができず、己の仏性も知らないことです。 | 沉醉于繁忙和瞬间的快乐中,不知真理,无法正确看待现实,也不懂自己的佛性。 |
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無智であるがゆえに、欲の火種に油を注ぎ、怒りの炎を煽って、あるいは人様の信頼や関係を失い、あるいは健康を損ね、あるいは仕事や資産を奪われてしまうのです。 | 因为无知,所以自己的欲望犹如火烹油,似扇子煽火,或失去与他人的信赖关系,或损害健康,亦或是丢掉工作和财产。 |
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三徳とは、 | 三德为 |
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1. 知恵 | 1. 智慧 |
正しい情報、仏の知恵、教養を学び | 掌握正确的信息,学习佛陀的智慧,教养 |
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1. 慈悲(思いやり) | 2. 慈悲(关怀) |
慈しみと思いやりの心を育て | 培养慈悲的,关怀他人的心 |
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1. 仏性(感性) | 3. 佛性(感性) |
己の感性や能力を磨いて社会に貢献することです。 | 磨练自己的感性和能力为社会做贡献 |
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諸行無常の流れの中で、生老病死の苦しみから逃れるためには、三毒を三徳に転換せよ、と教えるのが佛心です。三毒に気づいて三徳に生きれば、人は必ず幸福と安心を得ます。その一歩を踏み出す勇気とキッカケを与える儀式、それが福厳寺あきば大祭です。今年は12月の7日(土)に開催されます。どうぞご家族さま、ご友人の方々をお誘い合わせの上、ご参拝ください。 | 在诸行无常的潮流中,为能脱离生老病死带来的苦,把三毒变成三德,这才是佛心的教诲。意识到三毒,并以三德的心活着,一定会得到幸福和内心的安详。福严寺的秋叶节。给我们提供了迈出这一步的勇气和契机。今年预计在12月7日(周六)举行。请诸位携亲友来参拜。 |
令和元年も残りあと2ヶ月。新しい年に悔いも厄も残さぬよう、心して過ごしたいものですね。 | 令和元年只剩下2个月了。在新的一年里,不要留下遗憾和霉运,用心的渡过这一年。 |
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令和元年十一月吉日 | 令和元年十一月吉日 |
佛心宗大叢山福厳寺 | 佛心宗大从山福严寺 |
住職 大愚元勝 | 住持 大愚元胜 |
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合掌 | 合掌 |
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福厳寺住職コラム | 福严寺住持专栏 |
習慣の力 | 习惯的力量 |
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日々の小さな習慣が、人生を大きく左右します。 | 日常中的小习惯决定一个人的人生。 |
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人生とは、 | 人生是 |
何を思い、何を話し、何を行うか、 | 想什么,说什么,做什么 |
その連続です。 | 的一系列连续 |
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「人生を変えるにはどうしたらいいですか?」 | “如何才能改变人生?” |
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私の元には、日々、このような質問が寄せられます。あるいは健康面で、あるいは経済的に、あるいは人間関係において、行き詰まった人々からの質問です。その問いに対する私の答えは、シンプルです。 | 每天都有人向我提出一些的问题。或是关于健康方面的,或是关于经济方面的,或是关于人际关系方面的,都是陷入困境不知如何是好的观众。对于这些问题,我的回答很简单。 |
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「習慣を変えなさい」それが答えです。 | “改变你的生活习惯”这就是答案。 |
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人生とは、心に何かを思い、口に何かを話し、身に何かを行う、その連続です。何を思い、何を話し、何を行うのか。それが生きるということです。 | 人生就是想什么,说什么,做什么的一系列连续。活着就是在想什么,说什么,做什么。 |
興味深いことに、私たちは、日々違うことを思い、違うことを話し、違うことを行っているわけではありません。毎日、おおよそ同じようなスケジュールで、同じようなことを思い、同じようなことを話し、同じような行為を行っています。この、毎日行う「同じような身口意の作業」のことを、習慣と呼びます。 | 让我感到有趣的是,我们每天并没有想的不同,说的不同,做的不同。每天差不多都是按照相同的计划在一样的思考,一样的说话,做的一样的事。这种每天都在重复着的“相同的身口意的行为”就是所谓的习惯。 |
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興味深いことに、健康で、経済的にも、人間関係にも恵まれている、成功者と呼ばれる人々と、そうでない人々では、日々の習慣が違います。 | 有趣的是,在健康,经济,人际关系上受益的所谓成功者人士和非成功人士的习惯是不同的。 |
一見同じように生きているように見えて、全く違う習慣を生きています。 | 看起来一样,都是在活着,但是习惯完全不同。 |
しかも、ちょっとやそっとの違いではなく180度違うのです。 | 而且,不是一点点的不同,而是180度的不同。 |
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人生が上手くいかないと嘆く人は、毎日の小さな習慣の積み重ねが、数年後、数十年後に、どれほど大きな違いを生むのかを知りません。したがって、日々を惰性で生き、己の身口意の習慣を振り返ることはありません。 | 人生不顺利就唉声叹气的人,不会懂这些日积月累的小习惯,在几年后,几十年后所产生的差异。所以每天懒散的活着,不去回顾反省自己的身口意的习惯。 |
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一方、成功者と呼ばれる人は、日々己が行う小さな習慣の積み重ねが、数年後、数十年後に、どれほど大きな違いを生むのかを知っています。したがって、日々を自覚的に生き、己の身口意の習慣を振り返って反省するのです。 | 另一方面,被称为成功人士的人,知道日积月累的小习惯在几年,几十年后产生怎样的差距。所以每天都很自觉地生活,时常回顾反省自己的身口意的习惯。 |
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人生に行き詰まった人に、この小さな日々の習慣を見つめて自覚的に生きることによって、安心と幸福をもたらす理論と技法を教えたのが、お釈迦さまです。人生を変えるための、日々の習慣。心の成功者となるための、日々の習慣。 | 处于人生困境的人,注意观察自己每天的生活习惯,去自觉的生活,从而做到安详的,幸福的活着。教授大家这个理论和技法的正是释迦牟尼佛。能改变人生的是生活习惯。成为心灵上的成功者的也是生活习惯。 |
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それらの善き習慣を8つにまとめた教えがあります。八正道(はっしょうどう)と呼ばれる教えです。 | 释迦牟尼佛总结出8种有意的习惯,叫做八正道。 |
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1. 正見(しょうけん) | 1. 正见 |
明日もある、いつまでもあると思って見る見方は間違いです。あらゆる物事は、無常の原則に従って、日々変化している。あなた自身の命も死に向かって生きている、そのことを前提にものごとを見る習慣をつけなさい。 | 明天在,以后一直会在的想法是错误 的。万事万物按照无常的原则每天都在变化。你自身也是在向死而生的。把这个习惯当作看事物的前提。 |
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1. 正語(しょうご) | 1. 正语 |
ウソ、悪口、二枚舌を避け、周囲に平和と調和をもたらす、思いやりに満ちた言葉を使いなさい。 | 避免谎言,坏话,表里不一,给周围带去平和与协调,使用充满关心关怀的语言。 |
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1. 正業(しょうぎょう) | 1. 正业 |
他人に迷惑のかからない、傷つけない行いを心がけなさい。 | 要留心,不做给他人带来麻烦和伤害的行为。 |
1. 正命(しょうみょう) | 1. 正命 |
自分の感性や能力を磨いて、社会に貢献できる仕事をしなさい。 | 磨练自己的感性和能力,从事为社会做献的工作。 |
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1. 正精進(しょうしょうじん) | 1. 正精进 |
以下の四つの努力をしなさい。 | 做到以下四个努力。 |
1. 自分の持っている善きところを伸ばす努力。 | 1.努力增加自己的善行。 |
2. 悪しきところを消す努力。 | 2.努力扑灭自己的恶行。 |
3. まだやったことがない悪いことをこれからもしない努力。 | 3.努力不做,还没有做过的坏事。 |
4. まだやったことがない善きことを積極的にする努力。 | 4.努力积极的去做,还没有做过的好事。 |
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1. 正思惟(しょうしゆい) | 1. 正思维 |
他を害せず、慈しみなさい。他をいたずらに憎んだり、怒ったりしない。欲をつのらせない。欲が怒りにつながることを知って、余分な欲をつのらせない。 | 做到有慈悲心,不伤害他人。不厌憎,迁怒于他人。不要贪心。要知道欲望和愤怒是相关联的,不要过度的贪心。 |
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1. 正念(しょうねん) | 1. 正念 |
自分の身口意を意識的に観察し、見つめなさい。 | 要有意识的留心观察自己的身口意。 |
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1. 正定(しょうじょう) | 1. 正定 |
精神が乱れておらず、落ち着いて統一されるよう、瞑想しなさい。 | 做到心不受扰,平静而合一的去冥想。 |
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お釈迦さまは、これら8つの教えを実践し、習慣化することによって、知らず知らずのうちに、幸福と安心が得られるようになると教えられました。これらすべてを、明日から完璧に行えと言われれば、それは難しいかも知れません。けれども、八正道のうちどれか一つでも、自分の中に意識的に取り込んで習慣化し、生きることができたなら、人生は確かに変わっていくことでしょう。日々の小さな習慣が、人生を大きく左右します。 | 释迦牟尼佛教诲到,通过实践这八种教诲并将其习惯化,便会在不知不觉中得到幸福和安详。如果从明天开始就要完美的实行这些可能很难。但是,如果把八正道中的任何一个有意识性的融入自己并将它习惯化到生活中去,人生一定会有所改变。日常小习惯,会主宰你的人生。 |
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お釈迦さまの8つの教え「八正道」を | 实践释迦牟尼佛的八个教诲“八正道”,并将其习惯化,就会得到幸福和安详。 |
実践し、習慣化することで | |
幸福と安心が得られるようになります。 | |